秘密は "さんみつ" にあり!
この80年代のマムは私にとって、かなりの衝撃でした!グランメゾン過ぎて普段はスルーしがちなマムですが、古酒の域に入った80年代の熟成シャンパーニュ。もう目眩がしそうです。グラスを手にした途端に香ってくる、キャラメルのような甘ぁ〜くトーストしたブリオッシュのような強い複雑な香り。そして味わいも然り。
この熟成マムの前に現行マムを飲んで比較テイスティングしたんですが、現行マムはスッキリと普通においしかったです。
現行マムはワインショップで6,000円も出せば簡単に買えますよね。これを今買って家のセラーで30〜40年寝かせておけば(あれ?私、何歳?)、この80年代の熟成マムのような味わいになるのか、こちらのワインバーのシニアソムリエの方に伺ってみました。
答えはNO!
少しおさらいしてみましょう。
まず、長期熟成に必要な要素は
- 高い酸味
- 強いアルコール=糖分(糖分がアルコールに変換します)
- 赤ワインであれば豊富なタンニン
冷涼なシャンパーニュ地方ではブドウが成熟するのが困難で、ブドウが成熟しないと糖度が上がりません。糖はアルコールに変換するため、糖度が度が上がらないとアルコールが低いワインになってしまいます。アルコールが低いと熟成には耐えられないため、瓶内二次発酵を行いアルコールを上昇させます。冷涼なので、元々のブドウの酸味は高いですよね。
ソーテルヌなどの甘口ワインをちょっと思い出して下さい。甘みに隠れてすごく酸味が高いです。そして、貴腐ブドウなので糖度も高くアルコールも高いですよね。だから長期熟成に耐えられます。
シャンパーニュは最終工程でデゴルジュマン(澱抜き)をし、その際に目減りした分を補うドザージュという工程で糖分を加え、高い酸味とのバランスをとります。実はこのドザージュはハウススタイルを決める大切な工程でもあるんです。 80年代や90年代はBrutでも上限ギリギリなくらいドザージュがたっぷりと行われていたのですが、最近はドザージュ・ゼロとかちょっとしたブームですよね。どんどんとドライな方向へ向かっています。なので昔とはドザージュの量が違うため、残念ながら80年代の熟成マムのようにはならないでしょうとのことでした。
よって、この熟成マムの秘密は酸と蜜(糖)!そう、”さんみつ” にあり!
あ、最近よく聞く "三密” ではありませんよ。